蕁麻疹(じんましん)
蕁麻疹(じんましん)は、皮膚の一部が急に赤く盛り上がり(=膨疹)、しばらくすると跡を残さずに消えてしまうという特徴を持つ皮膚病です。蕁麻(イラクサ)の葉に触れると痒みを伴う発疹が出現するため蕁麻疹と命名されたと言われています。
皮膚に痒みを伴う膨疹が突然生じて、通常は数十分から数時間以内にで治まることが多いですが、中には半日から1日程度続く場合もあります。また膨疹の大きさは小さなものから大きなものまで様々で、また個々の膨疹が癒合して広範囲に及ぶこともあります。
蕁麻疹の症状は、少数の特定の原因よりもむしろ多数の因子の積み重ねがある一定の閾値を超えることにより出現すると考えられています。
蕁麻疹の主な病型
特発性の蕁麻疹
蕁麻疹の病型で約70%が特発性の蕁麻疹とされます。
- 急性蕁麻疹(約20%)
発症してからの期間が6週間以内のものをいい、適切な治療で1か月以内に治癒するものが多いとされます。 - 慢性蕁麻疹(約50%)
発症してからの期間が6週間を超えるものをいい、夕方から夜間にかけて症状が出現したり悪化することが多いとされます。
刺激誘発型の蕁麻疹
- アレルギー性蕁麻疹
- 食物依存性運動誘発アナフィラキシー
- 非アレルギー性蕁麻疹
- アスピリン蕁麻疹
- 物理性蕁麻疹
皮膚表面の機械的擦過、寒冷刺激、日光照射、温熱負荷、圧迫、水との接触などにより生じる蕁麻疹です。 - コリン性蕁麻疹
血管性浮腫
- 特発性の血管性浮腫
蕁麻疹関連疾患
- 蕁麻疹様血管炎
- 色素性蕁麻疹
治療
- 原因・悪化要因の除去・回避
- 抗ヒスタミン薬の内服
原因がわからないことの方が多いですが、出来るだけ原因・悪化要因を探してそれらを取り除く、または避けるようにすることと薬物療法が治療の中心となります。
ステロイド外用薬は臨床的な有用性は低く、一般的な蕁麻疹の治療法としては推奨されません。
また頻度が最も高い慢性蕁麻疹は数か月~数年にわたって蕁麻疹の出没を繰り返すことも珍しくありません。そしてそれまでの経過が長いほど症状が治まるまでに要する時間も長くなる傾向にあります。そのため慢性経過の蕁麻疹は長期にわたり薬を飲み続ける必要がありますが、うまく症状がコントロールされると少しづつ減量出来たり中止できるようになることもあります。