帯状疱疹について
- 「水痘帯状疱疹ウイルス」という水ぼうそうと同じウイルスが原因です。
- 多くは体の左右どちらかの神経に沿って、痛みを伴う赤い斑点と小さな水ぶくれが多数集まって帯状に生じます。
- 50歳以上になると発症率が増加し、80歳までに約3人に1人が発症するとされます。
- 皮膚症状が治まった後も痛みが継続する、「帯状疱疹後神経痛」が合併症としてあります。
- 予防にはワクチンという選択肢があります。
「水痘帯状疱疹ウイルス」による感染症で、水痘(みずぼうそう)と同じウイルスが原因となります。この水痘帯状疱疹ウイルスへの初感染で水痘を発症しますが、水痘の治癒後もこのウイルスは神経節に潜伏感染しています。
潜伏感染している水痘帯状疱疹ウイルスが様々な誘因により再活性化すると、再び神経を伝わってその支配領域の皮膚に達して帯状疱疹として発症します。
このウイルスの再活性化の誘因としては、加齢・疲労・ストレス・外傷・手術・悪性腫瘍・その他の免疫抑制状態などが考えられています。
特に50歳以上になると発症率が増加し、80歳までに約3人に1人が帯状疱疹を発症すると言われています。
また帯状疱疹は一度かかったら終わりではなく、再発率も6.4%とされています。
帯状疱疹の症状
帯状疱疹の症状には特徴があります。
- 皮膚症状
体の左右どちらか片側に、赤い斑点と小さな水ぶくれが多数集まって、帯状に出現します。
その後に水ぶくれが破れて、かさぶたとなって約2~4週間程度で皮膚症状は治まります。 - 痛み
痛みにも①前駆痛、②急性帯状疱疹痛、③帯状疱疹後神経痛があります。
①前駆痛
皮膚症状に先行してみられるもので、程度も様々でピリピリしたような感じから痛くて眠れないほど強い場合もあります。
皮膚症状がなくても体の片側の帯状にピリピリした痛みが出ている場合は帯状疱疹の可能性がありますが、前駆痛は長くても1週間程度とされているためそれ以上経過しても皮膚症状が出現しなければ帯状疱疹である可能性は低くなります。
②急性帯状疱疹痛
皮膚症状の改善とともにゆっくりと軽快していき、発症から約1か月であまり気にならない程度となります。
③帯状疱疹後神経痛(PHN)
皮膚症状が治まった後も痛みが継続するもので、神経自体が損傷されてしまって起こる痛みのため改善しにくいのです。(目安として皮膚症状が改善してから3か月以上経過しても痛みが残る場合を指します。)
この痛みは人によって様々で、「焼けるようなピリピリした痛み」、「ズキンズキンとする痛み」などと表現されることがあります。この痛みも数か月から数年にわたり持続して難治化する場合があります。
50歳以上で帯状疱疹を発症した人のうち、約2割が帯状疱疹後神経痛に移行するとされています。 - 症状の分布
症状の分布に特徴があるのは神経の支配領域に沿って発症するためです。
帯状疱疹の治療
症状の軽減、重症化の予防、帯状疱疹後神経痛の予防のためにも早期に治療を開始することが重要です。
この病気の原因は「水痘帯状疱疹ウイルス」なので、ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬が基本となりますが、痛みに対しての補助療法も併せて行います。
抗ウイルス薬の効果を得るには発症初期ほど効果が高く、皮膚症状出現後3日(72時間)以内の早期投与が望ましいとされます。
帯状疱疹を予防するワクチン
帯状疱疹を予防するワクチンは2種類あり、対象は50歳以上の方です。
ワクチンは帯状疱疹を完全に予防するものではないですが、帯状疱疹を発症しないための選択肢のひとつになります。